8つ下の後輩から「兄貴」と呼ばれて、かなり慕われている。
彼が中学に上がった頃に知り合い、
多分一人っ子の彼としては
年上の兄弟が欲しかったのかもしれない。
さらには彼の家庭はかなり冷え切っている事を知ったのは、
知り合ってからすぐの事だった。
それだけに俺だけでなく、俺の周りも気を使い、
それなりに彼の道を反らさないように、心がけていた。
彼の家は父親、母親、彼の3人家族だが、
父親は彼が生まれる直前に他に女を作り、
近年では女の入り浸っている父親は
正月にも帰ってこなくなった。
母親・文子はそれでも彼を育て上げている。
しかし、母親の装いは俺らが知り合った頃と最近も変わらず、
年齢不相応に昼はミニスカートに体型が分かるような服、
夜はパジャマだった。
彼と知り合った頃から、家に行くと、
文子が階段を上っていくと、下から覗きこんでいた。
彼が彼女と半同棲生活を始めてからは、
週に2,3回しか家に帰ることはなかった。
俺は直接連絡を取り合っていたから、
彼がいつ家にいるのかとか把握できていた。
しばらくすると、ある事を思いつき
彼がいない時にあえて彼の家に行くようになった。
文子ははじめのうちはインターホン越しで俺を帰していたが、
そのうち玄関まで上げてくれるようになり、
それから世間話が弾むようになると、
自然と家に上げてくれるようになっていった。
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